昨日、歌舞伎座へ行って参りました。
第三部「ふるあめりかに袖はぬらさじ」、主演は玉三郎さんです。
幕末、開港間もない横浜の遊郭「岩亀楼」が舞台となっています。
玉三郎さんはその岩亀楼の芸者さん(お園)の役を演じていました。
最初から最後、舞台の幕が下りる瞬間までお園さんの役を演じきった玉三郎さん。
本当に見事でした。
18時から始まり、たった20分の休憩をはさんでの約3時間、立ったり座ったりの場面が多く、体力的にも大変でいらしたと思いますが、目下思いで機転の利くお園さん役になり切って演じていらして……
その玉三郎さんの宿命は、幾度となく拝見していて殆ど記憶しているのですが、改めてここで拝見させていただくことに致します。
ご覧の通り、天干一気、地支一気の宿命ですから、天馳星2つ、天印星であるにもかかわらず、そのパワーは天将星をしのぎます。
潜在的エネルギーも278とかなり多いので、心の強さにしっかりと対応できますね。
金星一気の攻撃本能のまとまりが、龍高星の裏に隠れる完璧主義の「調舒星」に無理なく流れていくため、「完璧」にやり遂げられねばご自身がそれを許すことができません。
才能は「禄存星」。
その意味合いは、信用信頼、愛情奉仕の質、人情味、回転財、そしてスケール大きな人気。
そのままの生き方をなさっているように思います。
以前、ある方から「一人前」とは、「一人分の手前の状態」、だからどんなに頑張っても「一人分」にはなれない……というようなことをお聞きしたことがあります。
技術、芸術の世界には「これで完璧」はなく、そう思ったとたんにそうではなくなる…という面があると思います。
それだけ精神を高見までもっていくという作業が伴います。
確か、数年前にも園田のブログに書かせていただきましたが、その頃にも歌舞伎座に出演しながらも自然に「フェードアウト」できたら、それが望ましい姿かもしれない……というようなことを仰っていたように記憶しています。
完ぺきな演技でお客様の前に立て無くなられたときは、多分私たちの前にお姿を見せて下さらなくなるのだろう……
あと何回、この方の舞台を拝見できるのだろう…といつも思っています。
それでも、同じ時代に生きられたことに、生の舞台を拝見できたことに、感謝の念を抱かざるを得ません。
千穐楽の空気は格別でした。
三度目の幕が下りるまで大きな拍手が鳴りやみませんでした。
その最後の最後までお園さんを演じきった玉三郎さん、凛として本当に美しかったです。